春になり、春一番とは何回あるのだろうと思うほどに、強い風が吹き荒ぶこの数日で、気付けば、日が長く感じるようになっていた。
16:00頃には、あっという間に暗くなっていた冬が明け、17:00を過ぎても、ほのかに赤みを帯びた空を眺める日が多くなった。
夜にぼんやりと浮かぶ月を見ながら、1日を振り返ることが多い。
仕事でのミスや方針の違い、接客態度、エトセトラ。
もう少し上手く立ち回れたのではないか、もう少し良い言い回しがあったのではないか。
その延長線には、自己嫌悪が待っていると分かっていながら、ついつい物思いに耽ってしまう。
鉄のように重く浮腫みだらけの足をなんとか動かしながら、帰路に着く。
他人から言われた一言、昔ぶつけられた怒り、他人に放った嫌悪感。
夜はどことなく苦手な気がする。
負の感情と負の思考に押し潰されそうになる。
暗く広い夜空は、私に降りかかる。
だから、下を向いて歩く。
降りかかる恐怖を見ぬように。
明日の朝に希望を抱けるように。