気付けば、11月ももうすぐ終わり。
1年があっという間に過ぎ去る今日この頃。
もう年末の予定と睨めっこしながら、
これからやってくる繁忙期に頭を抱えていたら、
知恵熱なのか、38℃の高熱を叩き出す羽目になりました。
カルテを見返してもらったところ、
どうやら生後半年からお世話になっているということが判明した主治医。
久しぶりの高熱にうなされながら、診察室へ向かうと、
「今日はどうしたの?」といつもの笑顔を通り越してニヤニヤといたずらっ子のような顔で尋ねられた。
「確か70歳手前だよな、この人」と思いつつも、相変わらずお元気そうな顔に安堵した。
そう、私の主治医は、昔からいたずらっ子。
小児科を掲げているにも関わらず、予防接種の時には、
いつも「さあ、痛いぞ〜」と脅しながら、ニヤニヤと注射器を近付けるのだ。
今思い返すと、随分と嫌な大人だ。
それにも関わらず、今でも通ってしまうのは、あのニヤニヤ顔が可愛らしいからだろう。
仕事柄、高熱が出たら即検査を受けなくてはいけないので、
どうにか苦手な血液検査を乗り越え、結果を聞くと、「細菌感染」。
要するに、免疫が低下した身体に細菌が入り、悪さをしたものの、身体が必死の抵抗をして高熱が出たらしい。
ただの細菌にすら勝てないほど、疲れ果てていたらしい。トホホ。
そんな検査結果を主治医がケタケタと笑いながら伝えてくるものだから、
なんとも可愛らしくて、つい診察室で笑ってしまった。
二十数年の付き合いになる主治医だが、私は注射の類が大の苦手だ。
(苦手になったきっかけの半分はこの人のせいだと思っているが)
針が刺さる感覚、痛みがなんとも嫌で、毎回、検査と言われるたびに半泣きになっている。
今回も安定の血液検査と言われ、「ただでさえ高熱でしんどいのに…」と拗ねたところ、
「もういい大人でしょう」と至極真っ当なお叱りを受けた。
針を刺す瞬間、ぎゅっと目を瞑り、目線を逸らしていたら、
「そんなにタトゥー入れてて、まだ慣れないの〜?」と相変わらず笑われた。
今回は後ろの看護師さんにも。
ああ、恥ずかしい。
だが、幾つになっても嫌いなものは嫌い。
こんなやり取りができるのも、この先生だけなんだよな、とふと寝る前に思った。
あの笑顔と優しい手のお陰で、私の身体は健康を取り戻すんだ。
博識ないたずらっ子。
長生きして欲しい、と思うのは、きっと私だけではないはず。
今日もまた幼き子に嫌われながら、予防接種をしているだろう。
あのいたずらっ子がいつまでもあの笑顔で診察室にいて欲しいと思った、つい最近の出来事。