moji...

月に一度の文字並べ

無題

 


f:id:percent_1335:20221120215307j:image

f:id:percent_1335:20221120215304j:image

 

この写真を撮った日、父が住んでいた家の片付けが終わった。

遺された3人(+父の友人1人)で、生活していた痕跡を失くす作業。

懐かしい写真や物たちを涙ひとつ溢すことなく、燃えるゴミに変えていく。

父が生きていた場所。

実家を出て3年が経ってから、父が暮らしいた場所に初めて赴いたのは、今年の6月。

奇しくも、自分の誕生月。

悲しみも、喪失感も、虚しさも、全てそこにあった。

 

消化しきれぬ思いは、父から譲り受けたカメラに込めて、せめてもの気持ちで、皆既月食翌日の満月に近しい月を撮った。

 

あまりに美しく映った月は、きっと涙の形。

愛する父は、もういない。

 

両手にずしりと重みを感じる、最期の仕事道具だった望遠レンズをしっかりと握り、映し出す景色。

 

これから、私は何を撮るのだろう。

このレンズは、何を映してくれるのだろう。

 

期待に胸が膨らむ、なんてことはないけれど、これからは私のモノ。